第35回「技術講習会」と第51回「食べて楽しむ会」開催
春も近い穏やかなお天気の3月26日、今年も名古屋でのイベントが行われました。今回で3回目の開催を快くお引き受けくださったのは名古屋コニュニケーションアート専門学校です。

同校の学生さんも2名参加され、 早朝より、講師の仁瓶利夫さん(アトリエ・ドゥブテイユ)による講習会が始まりました。参加者は東海地方を中心として、関西、北陸からもいらっしゃいました。「これ一冊でわかる パン・ド・ロデヴ」の本をたまたま本屋で見つけ、「むむ、この本は何か違う世界のニオイがする」と感じたことから、この会に参加してくださった方もあり、うれしい気持ちになりました。


いつものことですが、食い入るように仁瓶さんの動きを目で追う参加者の皆さん。
ロデヴが焼けました。プレーンの他には、クルミ入りとアプリコットとクルミ入りも。



ほかにも3時間発酵のバゲット、リュスティック、パン・オ・ルヴァンと、バラエティ豊かにパンが焼き上がっていきます。




こちらは恒例の揚げロデヴに和三盆、そして甘口醤油をからめたものです。


次から次から参加者の手がでて、あっという間に減っていきました。
午後の食べる会は、眺めの良い8階の会場に場所を移して行われました。今回の料理をご用意くださったのは、岐阜のビストロ「オグテイ」の小椋雄司さんです。じつは昨年、一昨年と料理を担当してくだったフチテイの泓(ふち)さんはお店の移転のため、今回はお弟子さんにあたる小椋さんが奥様とスタッフの方と岐阜から来てくださったのです。

プレートには、ブランダード(塩ダラとじゃがいものペースト)のグラタン、テリーヌ、にんじんのサラダが並び、パンもワインも進みます。生ハムの骨で取っただしを使ったスープには鴨のコンフィも入っていて、こちらもまたとても味わい深いものでした。

チーズはカマンベール、ミモレットにフルム・ダンベール

美味しいものにお腹も心も満たされたところで、仁瓶さんのフランスのパンについてのセミナーがスタートしました。

この間に内田一也さん(静岡・創作珈琲工房『くれあーる』店主)が、カフェ科の学生のサポートでおいしいカプチーノを入れてくださいました。
世間には「粉の風味」という表現があるが、もし本当に粉の味がするなら、それは生焼けということ。フランス語でノワゼット(ヘーゼルナッツ)の香りはよいバゲットに対する表現である。誰かのブログでフランスパンのことを「蜂の巣状の内相」と誉めていたが、蜂の巣は整列しているのでフランスではよくない例えになる。バゲットは、皮のおいしさと香りは焼くことによるメイラード反応から生まれ、切ったときの中の香りは発酵によるものである。
よいリュスティックは自然に気泡が上を向くものであり、内側のクリーム色は生地を酸化させていない証拠である。気泡と気泡の間が詰まっているのは良くない。リュスティックは膜厚にはなるが、詰まってはいけない、などなど、パンの見方や世間に広まっている間違いについての話しがあり、参加者は興味深く聞き入っている様子でした。
朝から学校の2階から8階までを行ったり来たりしているうちに、あっという間に会は終了時間となりました。今回も全面的にご協力くださいました専門学校の先生方、生徒さん、前日の仕込みからお手伝いくださいました皆様方、まことにありがとうございました。「また名古屋で続けてくださいね」の声を残して、参加者はそれぞれの帰途につかれました。
報告:塚本有紀