□第37回「パン・ド・ロデヴ技術講習会」と第53回「食べて楽しむ会」開催
神戸では7回目となるパン・ド・ロデヴ「パン・ド・ロデヴ技術講習会」と「食べて楽しむ会」を、日仏商事様の全面的な協力のもと開催しました。

講師は当会技術顧問の仁瓶利夫さん(ラトリエ・ドゥブテイユ)。関西で1年に1回、仁瓶さんのロデヴに触れられる貴重な機会とあリ、変わらず今年もたくさんの方がご参加くださいました。




パン・ド・ロデヴ、パン・ド・ロデヴ・オ・フリュイ、リュスティック
いつも通りパン・ド・ロデヴの仕込みとともに、1930年代のバゲットの作り方も披露されました。1930年代とは故カルヴェル教授(フランス国立製粉学校教授)が「バゲットの黄金期」と表現した時代であり、発酵時間が長く取られています。
仁瓶さんは「パン・ド・ロデヴは多加水であることが自慢なのではない。パンとしてうまいかどうかが重要」と話され、「ロデヴの魅力はイースト(パン酵母)とルヴァン(パン種)によるそれぞれの発酵のうまみの融合である」と強調されました。

ほかには講習会の試食用に、食べる会用にと、1948年のバゲットや冷蔵発酵法のリュスティック、少量のルヴァンを入れたパン、パン・オ・ルヴァンも前日から同時進行で仕込まれていました。すっかり恒例となったパン・ド・ロデヴ生地の揚げパンは、和三盆・きな粉と甘い醤油の2通りが振る舞われました。

パンが焼きあがったら、いよいよ午後からは食べて楽しむ会です。
午前中の参加者に加えてたくさんのお客様が見えて、総勢50名近い賑やかな「食べて楽しむ会」がスタートしました。
まずはブーランジュリーメルク(豊中市)の古山雄嗣氏による乾杯の発声で始まり、プレーンのロデヴを味わいました。


ロデヴはほかに「フリュイ」が用意され、バゲットやリュスティック、アプリコットとクルミのリュスティックも並べられました。
料理は京都「リンデンバーム」吉田英明シェフによるシャルキュトリーの数々です。「仔羊の煮込みパン屋風」はその名の通り、パン窯の捨て火で温め直されました。ソーセージやテリーヌなどなど吉田さんの手による逸品が並びます。





チーズはポン・レヴェックとクロタン

さて食後は、吉田さんの出版記念のミニセミナーです。1月に出版された「シャルキュトリーの本格技術」(旭屋出版)から「女性はまず100%の人がおいしいと言う(吉田さん談)」プルド・ポークとチキンレバーのムースの作り方を、ユーモアを交えてご披露くださいました。途中仁瓶さんとの掛け合いもあり、わきあいあいとした空気が広がります。同じパンと料理を分け合った仲間(コンパニオンcompanion)を実感するような和やかな時間となりました。




そして今回も静岡から内田さんご夫妻(創作珈琲工房くれあーる)がおいしいコーヒーを淹れに来てくださいました。

おいしいパンに料理にコーヒーと揃い、なんとも贅沢な時間でした。
例年会場は参加者で一杯になり、「パンや料理が取りにくい」という意見があったため、今年は中央の机に料理とパンを並べて動線を少し良くしてみました。しかし結局のところこの人数には対応できず、ぎゅうぎゅうなまま。今後、取れる対応はもう参加人数の制限しかなく、でもみなさんのお顔を見ているとそうも出来ず悩ましく思います。したがって来年以降も変わらずすし詰め状態のままになってしまうかもしれません。
「今日は、一年で一番おいしいパンを食べに来ました。明日からまた1年間頑張ります!」との言葉を残して帰途につかれる会員さんをお見送りし、会はお開きとなりました。
写真:田嶋哲カメラマン
報告 : 塚本有紀