パン・ド・ロデヴ「食べて楽しむ会」in 横浜
■ 第58回「食べて楽しむ会」開催
晩秋の夕陽が4つの箱を重ねたデザインの「ヨツバコ」ビルを照らし始めるころ、「めっちゃおいしい料理とロデヴの組み合わせ」にファン殺到で、今回も即日満杯となってしまった「ベッカライ徳多朗 ヨツバコ店」でのロデヴの会が始まりました。

午後4時。徳永久美子さんが焼きあげたロデヴが次々と並び始めます。いつものプレーン、クルミに加えて今日だけのリンゴ、チョコ&カカオニブ、ヘーゼルナッツ&黒胡椒の5種類。



今回の会場づくりや料理サービスの方法には、お店のスタッフさんたちの提案が随所にちりばめられています。
基本は、参加者のみなさんが一か所に座り続けず、動いて、いろんな人と話をしてもらいたい。そして料理はできる限りお客様のそばで出来立てを届けたいので、ロデヴのそばにコンロをもっていって温めながらスープを注いだり、混ぜたてのサラダを取り分けたりできるようなセッティングをと考えて下さました。参加者はそこまで自分でとりに来てもらう、というイメージです。
さて、いよいよ乾杯。中身は季節を反映してちょっと甘めのホットワイン。これもお店の方からの提案です。乾杯のご発声は、ベッカライ徳多朗社長であり、ロデヴの作り手である徳永久美子さんのご主人、徳永淳さんにお願いしました。
「来年は30周年を迎えるという今年の春、それまでスポーツばかりしていた息子がいきなりパン屋になると宣言をして入ってきました。伝統をつないでいけるというのは、うれしいことです。」とあいさつ。お店のファンの方々の熱い拍手に包まれました。
二重カップの心遣いがうれしいホットワイン


あいさつに立つ徳永社長と息子の将生さん
まずは、ロデヴの会お決まりの「一口目はプレーンのロデヴから。」今回は初めての参加者も多く、とても興味深そうに面白がってこの儀式に沿ってくださいました。
さて、いよいよ料理をいただきましょう。今回のテーマは「12月にロデヴと一緒にあったらいいもの」です。
ロデヴの隣に並んでいるのは、アツアツの真っ赤なボルシチ、ペーストは緑のブロッコリーとキノコの2種類、さらにビーツ入りフムスもあります。
ロデヴをクルトンにした「まさくんのベーコンと季節野菜のサラダ」はなんと、徳多朗2代目「まさおくん」のご提案。それも「お客さんのそばで混ぜようよ」という演出提案もあったそう。緑に呼応して赤いのはビーツと人参のラペ。お皿を持って順に歩いていくと、盛り付けも大胆にしてくれます。




きのこのペースト ブロッコリーのペースト


お腹には、ロデヴを詰めて焼きました。


メインディッシュには「徳永家のローストチキン」が登場。鶏のお腹にはロデヴが詰め込んでありました。肉汁を吸って、ロデヴの生地であればこそのしっかりとした存在感と美味しさに大満足です。この日は16羽も焼いたそうです。
食べるのに一生懸命になっていると、後半、チョコ入りロデヴが配られます。そのすぐ後に「マスカルポーネを添えるとよく合うんです」とこれまたダイナミックにのせて歩いてくださるサービス。スタッフの方々が、自ら試して美味しいと思うからこそ自信を持ってどんどん勧めてくださる、その実感が伝わってきます。となると、いただくほうはお腹の都合とは関係なく、とにかく美味に天を仰ぐばかりです。

それなのに、とどめのデザートは赤ワインジャムとソフトクリームに、ロデヴのスパイスラスク添え。うわぁぁと驚きつつも「食べないという選択肢はない」のです。
こんなごちそうの合間には、久美子さんのロデヴ話。「売り上げにはならないパンです。けれど、こういうパンを焼くと、売り上げに追われる日々のストレスが解消される。パンの作り手にとってそんなパンです」「そして、それを自信のなかった私に自分で焼いたほうがいい、と背中を押してくれたのが仁瓶さんなんです」。

見よ、このデザート

ロデヴはいま、フランスより日本がおいしい・・・と仁瓶さん
最後に、この日は大きなオマケが配られました。なんと、久美子さん直筆の「今日の献立のレシピ集」です。「おうちでもロデヴを美味しく食べてほしいから」という久美子さん。これ以上、ロデヴを食べ手に熱烈におすすめしてくれるお店がほかにあるでしょうか。

レシピ片手に料理を説明する久美子さん
一人の熱中する背中を見て、そばにいる人がその熱に呼応する。参加者の中にはリピーターの小学生もいて「いろいろなロデヴの食べ方が知れてよかった」と感想を残してくれました。さらに久美子さんがパンを教えに通っている近くの小学校には久美子先生の夢である「ロデヴを広める」応援団の4年生たちがいるとのこと。
なんと、なんと、が続いてしまうレポートとなりました。
(報告: 松成容子)